2016年10月アーカイブ

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         No.166  愛と情熱の朝ご飯

 

東か西かいつも忘れてしまいます。

近頃、季節の初物を口にしてパクパク食べてちょっとおしゃべりしてから

初物だったことに気がついて「あっしまった!」と。

小さい頃、初物を食べる時は東だったか西だったかの方向を向いて食べると

福が訪れると聞いたことがあります。

どちらが正しいのでしょうか?!

こちらは焼き栗の季節です。

我が家のそれ用の道具はマッシモのおじいちゃんが使っていた栗用のフライパン。

中華料理のコックさんが味を損なわないようにと中華鍋を洗剤無しでさらっと洗うように、

もう何十年も使われた栗用のフライパンも味がしみていて美味しいかなという

独断と偏見で随分と錆ているのだけれど、それがまた味わい深いと思っておりまする。 

 

じっとパソコンの前で仕事をしていると足の指先がかじかんでくる、

そんな季節になってきました。

リゾットが美味しい季節です。

きのこや南瓜のものが今は一番。

リゾット用の米は日本の透明感のあるそれに比べると随分と白いなあとあらためて気づきます

(ありがとうエスコさん、日本のお米ありがたくいただいております)。

こう寒くなってくると、体に蓄えるための脂肪も必要になってくるわけで

体の中から「もっと食べたいよ~」と叫び声が聞こえてくるのです。

皆さんもそうでしょうか? 

 

先日お仕事でプーリア州 /Pugliaに行った時 アルタムーラ/Altamuraに宿泊しました。

プーリア州の都であるバーリ/Bariの空港から車で西南へ約1時間、

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イタリア国内でもDOP(保護指定原産地呼称)のアルタムーラのパンで知られる有名な町です。

この町又この近辺には何と70軒ものパン屋さんや工房があるんですって。

ホント、町を歩くと至る所にパン屋さんの看板があります。

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1700年代に建築された歴史ある建物を改築したとあるB&Bの朝食、

女将さんの愛と情熱を感じる朝食です。

盛り沢山の果物は大きな篭に入れられて、好きなだけ取って食べられます。

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いれたてのカップチーノ、りんごや桃のケーキは全てホームメイド。

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これでもかとばかりにホームメイドケーキの他に

地元のサラミやモッツァレッラチーズそしてさすが郷土愛の強いご婦人、

アルタムーラのパンをカットしてササッと食卓のテーブルへ。

キッチンやサロンのデコレーションがあまりにも素敵だったので

撮影のお許しをいただきました。 

壁にかけたお皿類

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シンプルな棚に何げに並べた食品やキッチン道具

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こういうの上手なんですよねえ、イタリア人!

物の見せ方一つでそれがまた一段と価値のあるものに見えてくる。

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薪ストーヴとカラーコーディネートしたソファ全てが何気なく計算されていて、

またよ~くその中を見ると実は中には食器棚のようにカップ&ソーサーが並べられている

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その中で目をひいたのが鶏の絵付けの食器類

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鶏の絵柄は、ギリシャ神話のメルクリウスの象徴とまた、太陽の恵みや復活を表すものとも。

親近感がわいてくる絵です。

プーリアの特産の一つでもあります。 

アンティーク市を覗いては少しずつ好きな物を買い集めて新しいエッセンスを取り入れながら

郷土のものもアピールするここの女将さんのポリシーがしっかり見えてきます。

こんなに心を豊かにしてくれるアルタムーラでとった朝ご飯、

あの日はいつもの何倍ものパワーがみなぎっていた、、、かも。 

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             No.165 きっかけ

 

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市場やスーパーの店頭には待ちにまった栗が並び始めた。

胡桃も葡萄も全てイタリア産、秋のいろ一色それを見るだけで胸騒ぎする。

お仕事で行った南イタリアのプーリア州、道路脇にはサボテンの実がザックザクと実をつけていた。

北も南も秋色。

この季節はいつも「衝動買い」に走ってしまいがち、ファッションのそれではなくて「食」の衝動買いなのだ。

日本の秋も美味しいものが出回るのと同じようにイタリア全土で季節のものが沢山出回るのだ。

 

日本に住むS子さんご夫妻がまたイタリアにやって来るという、

しかも今回は私も訪れたことの無いトリエステ / Triesteに行きませんか?と言うお誘い。

全くの誤解だったのだけれど「淋しい」という意味のイタリア語の単語とトリエステという地名が似ていたので、

実は余りググっと心に響かなかった土地であるがゆえ、ずうっと行かず仕舞いだった。

旅のきっかけというのは人それぞれで又それも面白い。

S子さんのご主人がトラム好きという。

ふっと数年前の夏に岡山で乗った路面電車を思い出した。

吊り革のところに風鈴がいくつも列を連ねてそれがとても風情があったのを今でも憶えている。

 

私は旅先ではいつも夫に頼り放しだったのが、今回はナビゲーターの役目を果たさなければならず、

本当に頼り無いナビだ。

ホテルでもらった地図を片手に何度も足を止めては地元の人に尋ねての繰り返し。

トラムの乗り場方向に歩いていたら道路にいた住民の男性が、

「トラムに乗るの?数ヵ月前から動いてないんだよ。」

イタリア人は大体にしてジョークが好きな上、東洋人3人をからかっているのだとばかり思い、

笑いながらも半信半疑で乗り場へと向かった。

やはり本当だった。

折角なので、同じ路線をバスで旅することにした。

オベルダン広場のタバッカイオで切符を買い求めた。

この日は平日そして午後の昼下がり。

学校帰りの学生が元気良くバスに乗って来て車内はほぼ満員。

時折見え隠れするアドリア海の水平線が旅を盛り上げてくれる。

トリエステならではの坂道の町をグイグイ上がって行くこと10分足らず、

そこには昔ながらの木製の路面電車が停まっていたのだ。

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3人とも興奮冷めやらず。

床も椅子も全てが木造り。

動かない車内で3人でおしゃべりをしているとそこにトラム博士のような人が乗り込んで来て

あれこれと説明をしてくれた。

「展示車」の後ろは車庫とバールがあってそこでカフェ /caffè(エスプレッソコーヒー)を飲んでひと休み。

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最大傾斜数が26%だそうで数字に弱い私でも、それを間近に見ると

その迫力に圧倒される路面を間近で見るとその凄さ、力強さに圧倒されるのだ。

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この傾斜数であるがゆえ、

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車両は専用のもう一台の車両によって押し出されて登って行くそうで、

これぞまさに馬鹿力だ。

次はこの「現場」を見たくなった。

 

トリエステと言う町は色んな国の影響を受けて独特の文化が栄えた所だ。

そのせいか、町の人は皆親切で温かい。

旅人を心良く歓迎してくれる。

今度はトラムが再開通した時に行ってみたい。

ボーラという、冬に吹く北東の激しく冷たい季節風からそれにつかまって身を守るようにと

坂道の階段沿いには手摺りが設けられているのもこの町の特色だそうだ。

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トリエステは勘違いしていた言葉の意味とは全く正反対の印象の町で、

中でもヨーロッパ有数の海に面した広場が堂々としていて素晴らしい。

昼と夜の印象が光によっても全く違うものに見えてくる。

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人生前進する時また旅のきっかけは各々、そこから又色々な出会いがあり、

様々な経験が待っている。

「きっかけ」を与えてくれる人々に感謝を忘れないように心がけたいものだ。

 

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       No.164   ひと房ふたふさ

 

 

朝晩、だいぶ冷え込んできました。

日中お日様が出ると秋空高く、白い綿菓子のような雲がフワフワと形を変えながらスッと消えたりして、、、。

手に持つカフェラッテのマグカップのぬくもりが何ともいえない優しさで体を包んでくれます。

ピラカンサスの生垣に囲まれた、敷地の随分奥に堂々と構えたヴィッラ。

お屋敷の前には見事に整列した葡萄の木が尚一層威厳を保ちます。

普段は敷居が高くて入ることが出来ない立派なお屋敷も、

こういう収獲祭があると運良く近づいて見る事が出来るチャンスでもあります。

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1500年代に建てられ、1996年に世界遺産に登録された

アンドレーアパッラーディオのヴィッラの一つ。

ヴィッラアンガラーノの一角、お屋敷の隣にある馬小屋だったところ、

昔の面影をそのまま残しながら少し手を加えたこの場所で葡萄祭が開かれました。

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中庭にも葡萄のつるがしっかりと技を張りめぐらせています。

お屋敷内にある「別館」では黒板に手書きで記されたメニュー表が掲げられています。

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グラス売りで試してそれがお気に召したらボトルも購入出来るわけです。

あのアパレルメーカーのワインもあったりして、

興味本位で試したらこれがうまかった:樽の香り高くさらっとした甘みで滋味あふれる風味。

収獲祭りでは勿論、ワインとのバランスを考慮されたメニューがお目見えします。

煮込んだ肉、サルシッチャ、焼きチーズとポレンタ等、

どれもこのお屋敷近辺の産物で地元ならではのもの。

軽く食べたい人にはブルスケッタも用意されていて、

遠くからオーダーしたブルスケッタが出来上がった番号を大きな声で呼ぶ(いや叫ぶに等しい?!)

食後にはデザート類も5、6種類用意されています。

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目が合ったのはワインケーキ。

ほんのりとした甘みに少し酸味がかったワインのほのかな香り、

しっとりした生地が選んだワインと調和がとれていて

「ハァ~」と幸せの溜め息をもらしてしまいます。

 

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ゆる~い感じの音楽のバンドも居合わせってお祭りの雰囲気を盛り上げます。

まったり空気が流れ、そして秋風もそよいでリラックス、、、(アララワインが効いたか、、、)。

昔の葡萄酒作りをほうふつとしてよみがえる、

これぞ人による葡萄の圧搾競争なんていう興味深い「真剣ゲーム」もあります。

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昔はこうしてワインを作っていたのですね。

 

子どもは皆走り回り、大人は皆手にワイングラスを片手に立ち話。

ワインの樽をテーブル替りに立ち飲みスタイル。

スローフード協会の創立者、カルロペットリーニ氏も以前おっしゃっていましたが、

こういう収獲祭は代々伝えていかなければいけないもの。

それぞれにその表現の仕方は変わっても、

実りに感謝して皆でおいしいものを一緒になってわかち合い、

共存性、無くしかけている何かを取り戻すためにも

これからも続けて行くべきだと提唱しています。

この収獲祭は小中学生の子どももボランティアでデコレーションをしたり

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料理作りを手伝ったりと、地域密着型のお手本のようなお祭です。

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昔々、このヴィッラを所有していたファミリーが元々葡萄農園を経営していたため、

ここの5姉妹がそのパッションと熱意を違う形に変えて場所を提供したというストーリーもあります。

このヴィッラの所有者が葡萄祭の主催者に場所を提供してそれが輪→和となり、

他では味わえない何ともいい雰囲気を造り出すのでしょう。

心の通い合う者通しが一緒になって楽しみながら何かを造りあげる、

そのいい結果と一例を体験させてもらって感謝です。

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